国民 健康 保険 後期 高齢 者 医療 保険 違い

国民健康保険と後期高齢者医療保険は、どちらも日本の公的医療保険制度に属していますが、対象者や仕組みに大きな違いがあります。国民健康保険は、会社員や公務員以外の自営業者や無職の人が加入する制度で、市町村が運営しています。
一方、後期高齢者医療保険は原則として75歳以上の人が対象で、医療の高齢化に対応するための特別な制度です。この記事では、それぞれの加入条件、保険料の決定方法、給付内容の相違点について詳しく解説し、自分や家族に適した制度の理解を深められるようまとめていきます。
国民健康保険と後期高齢者医療保険の主な違いとは
日本における公的医療保険制度は、年齢や職業に応じていくつかの種類に分かれています。特に、国民健康保険と後期高齢者医療保険は、加入対象者や保険料の計算方法、給付内容に違いがあり、制度の目的も異なります。
国民健康保険は主に自営業者や無職の方、退職後に被保険者でなくなった方などを対象としており、市町村が運営しています。一方、後期高齢者医療保険は65歳以上または一定の障がいを持つ40歳以上75歳未満の方が対象で、75歳に達すると自動的にこの制度に移行することが原則です。
この制度は高齢化社会に対応した医療費の持続性を目的としており、一般的な国民健康保険とは異なる財政構造を持ちます。以下では、これらの制度の具体的な違いについて詳細に解説します。
加入対象者の違い
国民健康保険は、会社の健康保険(協会けんぽや組合健保)に加入していない75歳未満のすべての住民が対象です。自営業者、パート・アルバイト、無職の方などが該当し、住んでいる市区町村に加入します。一方、後期高齢者医療保険の対象は、原則として75歳以上のすべての高齢者です。
また、一定の難病や障がいにより生活に著しい制限がある40歳以上75歳未満の方も、所定の手続きを経て対象になることがあります。このように、年齢と健康状態が明確な区分基準となっており、75歳の誕生日を迎えると、自動的に国民健康保険から後期高齢者医療保険に移行します。
保険制度 | 加入対象 | 運営主体 |
---|---|---|
国民健康保険 | 75歳未満で職場の健康保険に加入していない方 | 市区町村 |
後期高齢者医療保険 | 75歳以上または40歳以上で特定の障がいを持つ方 | 後期高齢者医療広域連合 |
保険料の計算方法の違い
国民健康保険の保険料は、前年の所得や世帯の状況(世帯人数、年齢構成など)に基づいて市区町村が独自に算出します。
所得割、均等割、平等割の3つの要素が組み合わさり、それぞれの市町村で保険料率が異なります。一方、後期高齢者医療保険の保険料は、全国統一の基本月額をもとに、前年度の合算所得金額に応じて段階的に設定されます。
また、後期高齢者医療保険では、保険料の負担上限が設けられており、高齢者の経済的負担を軽減する仕組みがあります。さらに、原則として本人だけでなく、扶養している家族の収入も保険料算定に反映される点に特徴があります。
保険制度 | 保険料の算出根拠 | 経済的配慮 |
---|---|---|
国民健康保険 | 前年の所得+世帯構成+市町村独自の率 | 所得に応じた減免制度あり |
後期高齢者医療保険 | 全国基準+前年合算所得+家族収入 | 保険料の上限設定あり |
給付内容と医療費の自己負担割合
国民健康保険に加入している75歳未満の方の医療費自己負担割合は、原則として3割です(一定の所得がある高齢者は別)。一方、後期高齢者医療保険の自己負担割合は、原則1割または2割です。
これは、高齢者の医療需要が高く、病院受診が一般的であることを考慮して、財政的に支援するためです。ただし、高所得者とされる人は3割負担となります。また、後期高齢者医療保険では、長期の入院や高額な治療費が発生した場合の高額療養費制度が適用され、月々の支払い上限が設定されるため、経済的な安心が確保されています。
保険制度 | 自己負担割合 | 高額療養費制度 |
---|---|---|
国民健康保険 | 原則3割(70歳未満) | 適用あり |
後期高齢者医療保険 | 原則1割または2割(所得で変動) | 月額の支払い上限あり |
国民健康保険と後期高齢者医療保険の違いを知り、適切な医療保障を選択する
国民健康保険と後期高齢者医療保険は、どちらも日本の公的な医療保険制度に属していますが、適用される対象や保険料の仕組み、運営主体に明確な違いがあります。
国民健康保険は、会社員の被扶養者や自営業者、無職の人が加入する制度で、市町村が運営し、所得に応じた保険料が課されます。
一方、後期高齢者医療保険は原則として65歳以上の高齢者が対象で、75歳以上または一定の障害を持つ65歳以上75歳未満の人が加入します。この制度は広域連合が運営し、保険料は均等割・平等割・所得割の組み合わせで構成されています。二つの制度の大きな違いは、被保険者の年齢層や、財源の構成にあり、後期高齢者医療制度は現役世代の負担軽減を目的としている点が特徴です。
国民健康保険の対象者と加入条件
国民健康保険は、会社の健康保険に加入していない方やその家族、自営業者、無職の人などが対象となります。特に、会社を退職した人や定年後で後期高齢者医療保険に移行する前の人が一時的に加入することが多く、市町村に住所を有する人が原則として適用されます。
加入手続きは市区町村の窓口で行い、被保険者の資格は全国共通です。また、短期間の海外滞在や無保険期間を避けるためにも、退職後14日以内に国民健康保険への切り替えが求められます。
後期高齢者医療保険の対象年齢と適用範囲
後期高齢者医療保険の対象は、原則として75歳以上の人、または一定の対象疾患を持つ65歳以上75歳未満の高齢者です。この制度は「高齢者医療確保法」に基づき、高齢者の医療費増大に対応するため設けられました。
被保険者は、各都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合に属し、市町村からは保険証の交付や保険料の徴収が委託されています。年齢到達により自動的に資格が発生し、特別な申請は不要ですが、健康保険の切り替え手続きは必要です。
保険料の計算方法の違い
国民健康保険の保険料は、所得・資産・世帯人数などをもとに市町村が独自に算出します。年々変動するため、前年の所得が大きく影響します。
一方、後期高齢者医療保険の保険料は、都道府県単位の広域連合が定める仕組みで、均等割・平等割・所得割の3つの要素から構成されます。所得割は前年の所得に基づきますが、国民健康保険ほど高額になることは少なく、低所得者への配慮が比較的されています。
医療サービスの自己負担割合
医療サービスの自己負担割合については、両制度とも原則として75歳未満は3割、75歳以上は1割または2割とされています。ただし、国民健康保険に加入している75歳未満の人は、通常3割負担ですが、一定の所得水準以下の高齢者(70~74歳)は1割または2割に軽減されます。
一方、後期高齢者医療保険に加入した75歳以上は、原則1割負担ですが、高所得者層は2割負担となります。この仕組みは、高齢者の医療アクセスを確保しつつ、財政持続可能性を考慮した設計です。
制度の運営主体と財源構造
国民健康保険は各市区町村が運営主体であり、保険料の徴収や資格管理、給付の実施を行います。財源は保険料のほか、国・都道府県・市町村の法定割合による補助金も含まれます。
一方、後期高齢者医療保険は、各都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合が運営し、保険料のほか、現役世代の健康保険からの支援金(財政支援金)と国・都道府県の公費が財源の約50%を占めます。この構造は、高齢化社会における世代間の負担分担を明確にするために設計されています。
よくある質問
国民健康保険と後期高齢者医療制度の主な違いは何ですか?
国民健康保険は原則として65歳未満の自営業者や無職の人などが対象です。一方、後期高齢者医療制度は65歳以上の高齢者が対象です。保険料の算定方法や運営主体も異なり、後期高齢者医療制度は都道府県単位の広域連合が管理します。医療給付の内容は似ていますが、本人の負担割合が異なる場合があります。
後期高齢者医療保険に切り替わるタイミングはいつですか?
後期高齢者医療制度の対象となるのは65歳到達時です。誕生日が到来すると、自治体から切り替え手続きの案内が送られます。国民健康保険に加入していた場合、その資格は自動的に喪失し、新たに後期高齢者医療広域連合に加入します。手続きは基本的に自治体が行うため、本人で特別な行動を取る必要はほとんどありません。
国民健康保険の保険料と後期高齢者医療の保険料はどう違うのですか?
国民健康保険の保険料は世帯の所得や人数に基づき市区町村が決定します。一方、後期高齢者医療の保険料は都道府県ごとに算出され、均等割・平等割・所得割の3方式で構成されます。所得に応じた負担は共通ですが、後期高齢者医療では本人の年金からの特別徴収が基本です。保険料の水準や仕組みに違いがあります。
後期高齢者でも国民健康保険に残ることは可能ですか?
いいえ、65歳に達した時点で国民健康保険の資格は失われます。後期高齢者医療制度は強制適用のため、対象者全員が新たに加入しなければなりません。ただし、一定の障害を持つ50〜64歳の人は、例外的に後期高齢者医療制度に移行できます。健康保険の種類は年齢や状況に応じて法律で定められており、選択はできません。
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